民事再生は、社員としても苦労が多く、心が折れます

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私は以前、勤めている会社が民事再生になりました。勤務先が民事再生を申し立てたときの私は、取締役工場長でした。現場の中で先頭になって民事再生を進めていく立場でした。
民事再生を遂行していく中で、現場で働く社員たちの気持ちや、取引先との交渉など、弁護士には分からない現場の声を知ることが出来ました。その時の経験から、現在、民事再生の申立てを考えている人たちに向けて、実際の現場で役に立つ情報を発信してきました。

今回は、お役立ち情報ではないのですが、民事再生を行っている会社の中で働く社員の気持ちや、社員として困ったこと、そして、勤務先が民事再生になった場合転職すべきかどうかなどをまとめてみました。

働く社員には、想像以上の苦労が待っています

民事再生とは、仕入先に対して本来支払うべき代金の大半を免除してもらった後に、引き続き事業を継続する、という方法です。

もちろん、民事再生の手続きがスタートした後は、仕入れ代金や外注費などは、当然、全額を支払います。

民事再生の場合、世間の認識としては、倒産と変わりがないですから、材料や部品を売ってくれる会社側から見れば、もう信用できないということになります。ですから掛け売りではなく、現金引換えなどの条件で買わざるをえなくなります。

民事再生の事前準備はどうするの?

民事再生は、会社を継続しようとするものですから、従業員にとっては、突然の失業を免れるので、とても良い制度と言えます。

しかし、外注先や材料の仕入れ先と交渉する担当者にとっては、なかなか厳しい、いばらの道となります。
民事再生を行おうとする会社は、たいていの場合、半年前くらいから準備を始めます。

最初は社長や役員だけで話を進めますが、やがて、部長や課長くらいまでは、事前に説明を受けることになります。
なぜなら、ある程度の社員の協力が無ければ、民事再生を申立てした後、スムーズに業務を継続できなくなるからです。

中小企業では、部長や課長という肩書は付いていても、デスクワークではなく、実際の現場実務に付いているケースがほとんどでしょう。いわゆる、プレイングマネージャーというやつですね。

つまり、部長や課長は、会社が民事再生を申立てする前日までは、今注文している仕事の代金は支払われなくなる、ということが分かっていながら、外注先に仕事を依頼したり、仕入先から商品を買ったりすることになります。時には、休日出勤をしてでも納期を間に合わせてくれ、という依頼をしたりもするんです。

これは、言い方は悪いですが、騙しているということですよね。ですから、よほど誠意をもって対応しないと、後々、恨みを買うことにもなります。

民事再生の計画を知ってから、申立てまでは、悩みの日々でした

私が勤務する会社が民事再生の申立てをしたとき、私の立場は、子会社の工場長でした。私の会社の親会社は、二つの子会社を持っていました。子会社はまじめに業務を行っていたのですが、親会社の経理がずさんで、その結果、親会社と子会社まとめて民事再生となってしまったのです。

私が民事再生になると知ったのは、申立てをする2か月前でした。親会社の部課長に比べれば、遅かったと思います。

実は、私が知らされたころは、受注が好調で仕事が忙しく、外注先に対しても、どんどん生産してくれとお願いしていました。

民事再生の計画を知ってしまうと、外注先にはお願いしづらくなります。せっかく仕事をしてもらっても、その代金は支払われないということが、自分には分かっているからです。
しかし、製品が出来上がらなければ、お客様に迷惑をかけることになりますから、誰にも言えずに悩むことになります。

顧客、会社の部下たち、外注先、それぞれに対して秘密を抱えながら、業務をこなさなければならないので、胃の痛む日々が続くことになりました。

そんな心配をしながら、会社とは別に、自分自身の生活の心配もしなければならず、地獄の2か月間でした。

民事再生申し立て後の立場

裁判所に民事再生の申し立てをすると、いよいよ購入先への支払いをストップすることとなります。

支払い日の前日に申し立てをしましたので、翌日の支払い日には本来の支払金をまったく支払わないということになります。

外注先も、急に入金がなくなるわけですから、大騒ぎです。ひっきりなしに電話が鳴り響いて、「すみません」「申し訳ありません」と謝り続けることになります。
正直、本社の社長や専務を恨みました。社長や専務はいい気なもので、電話対応も人任せのようでした。

この日から、本来支払うべきお金を払ってもいないのに、部品の注文をしたり、外注先に加工を依頼したりしなければならなくなりました。
乗り込んできて怒鳴り散らすような仕入れ先は有りませんでしたが、おそらく内心は怒鳴り散らしたい気持だっただろうと思います。

仕入れ先からの入荷が無ければお客様に商品を納入できなくなります。業務を継続するためには、何としても仕入れ先を説得して、取引を継続してもらわなければなりません。
新しい注文分は現金引換えで注文するという条件で、たいていの取引先は継続していただけるようになりました。

それでも中には、今後の取引はしないといって離れていく取引先も有りました。

民事再生は、社員のローンの返済計画をも狂わせる

民事再生を申し立てた場合、会社の資金繰りは、準備期間も有りますから、充分に対策を練っているでしょう。問題は、突然民事再生を聞かされることになる社員それぞれの資金繰りです。民事再生になって、会社は継続することになりますので、月々の給料は支払われます。

ただ、経費を抑えるために残業が無くなるとか、場合によっては、賃金カットもあり得ます。

仮に、月々の給料は従来通りだったとしても、ボーナスは出ないというパターンが大半だと思います。

突然、ローンの問題が社員を襲う

ボーナスが出なくなると、住宅ローンやマイカーローンで、ボーナス払いを設定している社員は、支払いが出来ないということになりかねません。

誰もが、勤め先が民事再生になるなどと想定して働いていませんから、それほど貯金も充分とは言えないケースも多いでしょう。

しかも、勤務先が民事再生になっている状態では、ローンの借り換えなども難しい話になります。

転職者が増加する

そうなると、必要な生活費を稼ぐためには、転職もやむを得ない、という動きが出てきます。

ここで転職者が急増してしまうと、会社としては重大な問題となってしまいます。

何しろ、民事再生になったばかりの会社ですから、退職者が多くなったために、不足した社員を補おうとして求人を出しても、民事再生になったばかりの会社に応募しようという人は、まず現れないと言ってよいでしょう。

ですから、今いる人を、何とか繋ぎ止めなければなりません。

担当弁護士を活用しよう

民事再生を申立てする際に、会社は弁護士と契約していますので、この弁護士の力を借りて、社員のローンの相談にも乗ってもらうということをやったほうが良いでしょう。

弁護士さんに指示されたと言って銀行に交渉に行けば、銀行も、それなりの対応をしてくれるはずです。

欲しいときに作れないクレジットカード

ちょっと話が飛んでしまう感じなのですが、意外な盲点があるので、ここでお話しをしておきたいと思います。

このブログを読んでいる皆さんは、クレジットカードを何枚持っているでしょうか。

買い物をするお店ごとに違うカードを持っている人もいるでしょう。逆に、どこで買い物をしても、1枚のカードで済ませている人もいるでしょう。

はたまた、どんな時でも現金払い、ということで、カードは嫌いで1枚も持っていない、という主義の人も結構いますね。

もしも会社が潰れたら

会社が破産してしまった場合は、強制的に解雇になってしまいますから、無職になります。無職ですと、クレジットカードは作れません。

会社は破産はしていないけれども、民事再生になった、という人は、職は失っていないので、クレジットカードを持っていない人は、大至急、カードを作りましょう。せっかくですから、2~3枚は作ったほうが良いです。

民事再生になって、将来を考えたとき、退職して、新しい会社を探そうと考える人も多いと思います。そんな時、貯金が有るから、1年や2年くらいは無職の期間が有っても大丈夫、という人は関係ないのですが、会社が潰れたり、退職したりすると、生活費に困るという心配がある人は、クレジットカードがピンチを救ってくれるかもしれません。

クレジットカードで生活再建を

会社が潰れて失業すると、雇用保険が給付されます。しかし、給料と同じ額が支給されるわけではありません。それまでの給料の額にもよるのですが、せいぜい、給料の50パーセント程度の金額です。そうすると、生活を切り詰めなければならないのですが、いきなり半分は無理でしょう。

当然、再就職をする訳ですから、次の仕事が決まるまでの数か月を何とかしのげば、生活を立て直せる場合が多いのではないでしょうか。

そのときに、ピンチを救ってくれるのが、クレジットカードです。

例えば、1か月間、すべての支払いをクレジットカードで行えば、その月は現金を使わなくて済みます。そして、クレジット代金の決済日が来る前に、半分くらいをリボルビング払いに変えます。

そうすると、雇用保険の金額が給料の半分でも大丈夫です。それを何か月間か繰り返すうちに、再就職を決めれば良いのです。

キャッシングリボルビングよりも、ショッピングリボルビングの方が金利が安いので、キャッシングは避けるようにしましょう。

万が一、再就職が決まるまでに、ちょっと時間がかかってしまった場合のことを考えて、クレジットカードは2~3枚くらいは持っておいたほうが良いでしょう。その方が気持ちに余裕が持てます。

ただし、リボルビングは金利が高いので、就職が決まったら、出来るだけ早く返済し終えたほうが良いでしょう。

クレジットカードの申し込みは、無職になる前に

クレジットカードの必要性については、私の以前のブログで「勤務先が民事再生になってしまったら、ぜひやっておきたい大切なこと」に詳しく書いていますので、よろしければご参照ください。

とにかく、会社が潰れて無職になってから申し込んでも、クレジットカードは作れません。仮に申し込んでも、「今回は見合わせることとなりました・・・」という返事が来るだけです。

余談ですが、アパートも無職ですと借りることができません。
もし転居の予定がある人は要注意です。

クレカもアパートも勤務先が有るうちにぜひ、申し込んでおきましょう。

民事再生になった会社に勤め続けるべきか、それとも転職するべきか

民事再生を申請した企業は、その後はうまく事業を再生していくのでしょうか。
銀行借り入れなどの借金がゼロになるわけですから、うまくいって当然のような気がしますよね。

意外に低い民事再生申請後の生存率

ところが世の中はそれほど甘くありません。
実はリサーチ会社の調査では、民事再生手続きが完了した後、5年後以上の生存率は30パーセント以下で、20年後以上の生存率は20パーセントを切っているという結果だったのです。

生存率が低いとはいえ、民事再生申請後、20年以上頑張っている会社もあるということは確かです。
ただ、やはり倒産する会社は、たとえ借金がチャラなっても、簡単には立ち直れないということのようです。

この結果を踏まえて民事再生を申請した会社に勤務していた場合の社員の身の振り方ですが、民事再生を申請した後の1年ほどは、裁判所が管理しているので、まず倒産の危機は無いと言えます。
また、スポンサーが付いて民事再生申請から1年後くらいにスポンサー企業のグループ会社になったとしたら、その時点から1~3年くらいはスポンサーになった会社が頑張って支えてくれるので、やはり倒産の危機は無いと言えるでしょう。

転職も視野に入れる

ですから、もしあなたが転職可能な年齢だったり、もしくはそれなりのスキルが有ったりする場合、安全な人生設計をお話しすると、まず、民事再生になったからと言って慌てて転職する必要は有りません。
しかし、1~3年の間にじっくりと転職先を探して次の一歩に踏み出すことが大切だと言えるでしょう。

就職・転職を考えている人に有利な提案です

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まとめ

勤務先が民事再生を申請した場合は、社員個人の生活も勤務先での業務も、さまざまな苦労が襲ってくることは間違いが有りません。多くの場合、民事再生以降の1~2年くらいはボーナスが無くなるケースが多いでしょう。
その際は、住宅ローンなどでボーナス払いを設定している人は、金融機関に対して、支払いの再設定をお願いすることも必要になると思います。

転職するか、それとも会社に残って頑張るかを悩むケースも出てくることでしょう。民事再生とは、倒産以後も職場が残るという制度です。ですから、当面の収入は有るわけですから、慌てずにじっくりと考えて、自分の進む道を決めることをお勧めします。

なお、民事再生を検討したい経営者さんには、別のブログで「民事再生の意味と申立て方法や費用を分かりやすく解説」をご参照いただければと思います。

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