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私は、自分が勤務する会社が民事再生を申し立てたという経験が有ります。
その経験の中で、弁護士や司法書士から説明が有るような法律的なことではなく、実際に日常の仕事な中で、ここは押さえておいたほうが良いと思われる事柄をお話ししています。
民事再生申立て後の日常業務の中で、特に気をつけたい2つのポイント
1.資金管理を怠らないこと |
2.連鎖倒産を防ぐ手立てを考えること |
資金管理や受注単価はすべて見直してみること
民事再生の申立て後は、支払いが現金になりますし、相手によっては、前金が必要だったりします。たとえ、交渉がうまくいっても、月末締め切りの翌月末現金払いがせいぜいです。
それに引き換え、顧客からの入金は、以前と変わらない支払い条件です。つまり、注文が有ると、先に仕入れ代金を支払うようになります。
すると、余裕が有ったはずの資金が、みるみる減ってきて、下手をすると足りなくなりそうです。
そうならないためには、大切なことが2つ有ります。


赤字仕事は、徹底的に排除する
1つは、赤字仕事は、即やめるということです。注文を見直してみると、意外に赤字仕事が有るものなのです。
赤字仕事を継続してしまうと、どんどん資金が減っていきます。ですから、顧客に値上げ交渉をするか、値上げできなければ、受注辞退をするかを考えたほうが良いでしょう。どんなお客様でも、自分の会社を赤字にしてまでお付き合いする必要は有りません。

資金状況は毎日チェックする
受注は毎日変化しています。それに伴う部品費や材料費が毎日発生します。顧客からの入金もまちまちですし、仕入に対する支払いも、支払い条件が仕入先ごとに異なる条件となってしまっています。
ですから、うかうかしていると、資金が足りないということになりかねません。資金繰り表は、毎日更新して確認するようにしたほうが良いと思います。
資金状況によっては、受注調整をせざるを得ないケースも出てきます。民事再生を申し立てした後は、売り上げの入金よりも仕入れ代金の支払いの方が先行するのですから、この点は慎重に考えなければなりません。
売上をどんどん上げれば大丈夫だろうと考えがちですが、急激な売り上げ増は、資金不足を招いてしまいます。
ここが民事再生の難しいところです。

連鎖倒産を防ぐ手立てが必要です
民事再生を申立てすると、仕入先や外注先に、突然の資金繰りの困難を発生させてしまいます。
民事再生というものは、裁判所から許可が出るまでは、申立て以前の債務は、支払わないことになります。
これは、逆の立場で考えると、仕入先や外注先の会社は、本来支払ってもらうべきお金を、もらえないことになります。
しかもそれだけではなく、受け取っていた手形が不渡りになって紙くずになるわけですから、その分の穴埋めをしなければなりません。たいていの場合、受け取った手形は、銀行に持ち込んで割引をしたり、自社の支払いのために、回し手形として使ったりしています。
それが急に不渡りとなって、その分も支払ってくれと言われるわけですから、大きな金額の取引をしていた会社は、もう、パニックになってしまいます。
それらの会社は、暫定的に、銀行からの融資を受けて切り抜けているのだと思いますが、借りたお金は返さなければなりません。ですから、資金繰りがひっ迫してしまうのです。
二次被害を起こさないように気をつけること
それらの仕入先や外注先を倒産に追い込むような二次被害は、何としても避けなければなりません。
以前のブログで、民事再生を成功させるためには、仕入先に対して、できるだけ支払いを延ばすように交渉しましょう、という話しをしましたが、もし、先方が資金繰りに苦しんでいるようなら、そこはケースバイケースで、前金で支払うなどの対応が必要になります。
こちらは民事再生で生き残ろうとしているのに、仕入先や外注先が連鎖倒産になってしまったら、後味が悪いですし、その後の仕事もうまく進まなくなってしまいます。 そうならないためにも、仕入先や外注先との連絡は、民事再生申立て以前よりも密にするように心がけたいものです。
なお、法律に基づいて民事再生を遂行するための具体的な方法論を「民事再生の意味と申立て方法」にまとめましたので、具体例が知りたい方は、ぜひご覧ください。