債権者説明会の取り組み方と、その後に経営陣がやるべきこと

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民事再生申立て後の最初の大きなイベントは債権者説明会です

債権者説明会は、当社に対して、売掛けなどの債権を有している会社すべてに案内を出します。

債権者説明会の取り組み方としては、集まってもらって、民事再生になってしまったことをお詫びをして、そして、負債の状況を説明します。

どのようなイメージで行われるかと言いますと、テレビで、不祥事を起こした会社などが、ひな壇の上で、長テーブルの前に役員が座って、「このたびはすみませんでした・・・」というような記者会見の映像が流れることが有りますが、あの映像で、役員と向かい合って座っている記者たちが債権者に変わったような形です。

集まってもらうのは、あくまでも当社に対して債権を持つ、仕入先や外注先です。仮にお客様が、話を聞きたい、と言われても、お断りすることとなります。

会社の立地が田舎だと、会場の選定に苦労します

場所は、それなりに人数の入れるホールなどを借ります。仕入先の会社数が多いと、それに応じた広さの会場を用意しなければなりません。会場が押さえられずに、説明会が遅くなってしまうというケースも有るようです。
私の会社の場合は、田舎でしたので、町の公会堂のホールを借りました。公的な場所を借りられると、意外に安く済むので、おすすめと言えます。

ステージ上のひな壇には、社長をはじめ会社の役員と弁護士が並びます。

進行が上手そうな社員を司会者にします。また、集まってくる人たちを会場に案内する受付にも、何人かの社員を配置しておきます。

債権者説明会の流れ

説明会は、社長が、民事再生に至る経緯や今後の見通しなどを一通り説明した後、質疑応答となります。

仕入先の方々は、本来支払ってもらうべきものを、支払ってもらっていないのですから、中には強い口調で叱責する人もいます。
場合によっては、「計画倒産ではないのか」という声も出たりします。

しかし、叱責の声は、そう長くは続かないと思います。

仕入先の方々にとっては、当社が民事再生によって会社を再建し、今後も継続して取引をお願いしたいし、今後の支払いは、確実に行うといった趣旨の話をすると、安堵する気持ちが広がって、穏やかな空気になって行きます。

当然、今後の計画についての質問も出ます。民事再生を自力でやるのか、それとも、スポンサーを付けるのかという質問も出るでしょう。

例えば、スポンサーを付ける方向で、しかも、すでにスポンサー候補が数社あって、選定中、みたいな話が出来れば、だいぶ穏やかな空気になると思います。仮にスポンサーとなる会社がすでに内定している場合ですが、この時点では、裁判所の認可が下りていないわけですから、まだ発表してはいけません。
あくまでも、現在は選定中です、という返事をしておきましょう。

しかし、スポンサーを付ける方法は、スポンサーの思惑によって、会社の内容が変わってしまうというデメリットも有ります。そのため、自力再生を選ぶ場合も有ると思います。その際は、債権者に、出来るだけ安心してもらえるように、具体的な顧客への販売計画や見通しなどが話せれば良いのではないでしょうか。

民事再生には、顧客が離れていくというリスクが有る

債権者説明会が終わると、徐々に、仕入先や外注先が落ち着きを取り戻してきます。

ところが、営業面を見てみると、知らず知らずのうちに、顧客が離れて行ってしまうという現象が起きてきます。

民事再生を申し立てたということは、会社の業務を継続する意思を示したということになりますが、確実に成功するのかどうかは、まだ明確になっていません。ひょっとしたらうまくいかない、ということも起こりえます。

民事再生を申し立てた会社からは購入しないと、明確に決めている会社も多くあります。ですから、お客様の中には、注文済みの商品は受け取るけれども、今後の注文はしません、と言ってくるところも有ります。

それに、民事再生になったばかりの会社と、新規取引をしてくれる会社などは有りませんから、従来の顧客が少しでも離れて行けば、売り上げは徐々に減少していくことになります。

売上減少を食い止める方法

民事再生を申し立てた会社とは付き合わない、というルールを持っている顧客が離れていくのはしょうがないですが、そういった決まりが無い顧客までが離れてしまわないようにしなければなりません。

民事再生は、それなりの売上が有って、初めて成り立つものですから、顧客の減少は、最小限にとどめなければなりません。

せっかく裁判所から民事再生を認可されても、売上が上がらなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。

課長や部長、役員などが、営業社員と一緒に顧客を回ることも大切です。やはり上司の方が、民事再生になった状況を、より多く知っているわけですし、今後の会社の方向性などを話せた方が、顧客としても安心感を持てることになります。

不安が多いと、やはり、他の取引先を探しておこうという動きにもつながってしまいますので、そうならないように対応しなければなりません。

もう一つのメリットとして、上司と一緒に顧客を訪問すると、先方も上司が出てきてくれる可能性が高いので、顧客が何を考えているかを知るきっかけにもなります。

民事再生を利用して顧客にアピールする

顧客に安心してもらうための説明の仕方を、一つ紹介したいと思います。

「弊社は銀行借り入れが多く、毎月の返済が経営を圧迫していましたが、民事再生の申立てによって、毎月の返済がゼロになりました。ですから、資金繰りが楽になりました。しかも、裁判所が毎月の資金の流れを監督しているのですから、こんな安全な会社は無いですよね」

まあ、こんな感じです。あながち、嘘ではないと思います。

とにかく、お客様が離れて行かないように、営業活動だけではなく、納期管理や品質管理にも気を配って、民事再生以前よりも良い会社になったと言ってもらえるような日々の活動が大切です

民事再生に対する世間の見かたは、倒産と同じ

民事再生になると、当然ですが、風評被害のリスクは発生します。
あの会社は潰れたらしいぞ、というような話は、あっという間に広がっていきます。

そのようなことは、しょうがないことですが、一番気を付けなければいけないことは、社員がネットに悪口を書き込むことです。

社員しか知りえないような不祥事や問題点をネットに書き込まれると、それが、面白おかしく広まっていきます。しいては、顧客の目にとまって、危ない会社だと見られるかもしれません。

私が勤務していたときの親会社も、ネットにかなりの誹謗中傷を書き込まれました。その多くは社員が書いたものと思われます。

会社が潰れるとか潰れないとかに関係無く、会社に不満を持っている社員はいるものです。社員全員が会社に満足している、などというのは、むしろ珍しいのではないでしょうか。

それでも、自分の勤め先の悪口をネットに書き込むというのは、やはり問題だと思いますので、そのような社員には、厳しく対応することも必要でしょう。

経営陣は社員に対して、経営の失敗を認めること

民事再生に至ってしまったことは、経営陣の失敗なのですから、まずは、経営陣は社員に対して、真摯に頭を下げて詫びる、ということが大切です。これが出来ない経営者は多いものです。しかし、会社が再出発するためには、絶対に必要な第一歩だと思います。

社員に対して、ずっと威張り続けてきたような経営陣は、民事再生になっても、まるで降ってわいた災難のように考えて、社員に対して、「精一杯頑張れ」みたいな話をしてしまいがちですが、それでは、誰も協力しようという気持ちにならないでしょう。

きちんと詫びた上で、みんなで協力して欲しい、という話しをするべきでしょう。

そのやり方を間違えると、ネットに不祥事や悪口を書かれるような方向に進んでしまうのではないでしょうか。 経営陣と社員の間の壁を無くして、風通しを良くしておくことが、何よりの対策になります。

なお、民事再生の準備から、実際に申し立てから終結までの流れを具体的に解説したブログ、「民事再生の意味と申立て方法」も用意していますので、よろしければご参照ください。

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