民事再生の申立てをした後の注文増加は要注意

もとブログ

この記事は広告・プロモーションを含んでいます

民事再生になった途端、注文が殺到する

民事再生の申立てをして、各取引先にその旨を連絡して数日が過ぎると、なぜか注文が増えてきます。

これは業種にもよるのですが、製造メーカーや問屋さんであれば、たいていの場合、注文が増えるだろうと思います。

なぜかというと、お客様は、民事再生を申立てた会社が、本当にうまく立ち直ってくれるのか、心配になります。そうすると、まだ営業しているうちに、ある程度の余裕を持てるくらいの商品を買いだめしておこうという動きになるんです。

私の勤務先も、本当にこれが民事再生を申立てた会社かと思うほど、注文が殺到して、忙しくなりました。

どんどん資金繰りが詰まってくる

実は、これが厄介なのです。急に注文が増えると、商品を作るための材料を追加購入したり、社員は残業をしたりします。すると、お金がどんどん飛んでいきます。

民事再生申立て以降は、材料を買った代金は、現金払いとなっていますので、即、お金が必要です。社員の残業代も、給料日には現金で支払わなければなりません。

それに引き換え、増えた注文分を販売した代金は、お客様の支払い条件で、従来通りに支払われます。

つまり、お客様からの入金よりも、材料代や残業代の方を先に支払わなければなりません。
その結果、資金が足りなくなる、という事態になるのです。

民事再生の申立て以降に注文が急増した際の対処法

急に注文が増えたときは、まず、その注文が、お客様にとって、予備的な注文ではないかということを疑って、聞き取り調査をする必要が有ります。

その結果、予備的な注文だと分かったときは、「弊社の民事再生は絶対にうまくいくので、予備的な注文をしないようにしてください」とお願いすることが必要になります。

場合によっては、予備的な注文が、逆に資金不足につながり、民事再生がうまくいかなくなる可能性が有ります。ということを説明しても良いかもしれません。

民事再生がスタートしたら、売上よりも資金繰りが重要、という感覚を持った方が安全なのです。

民事再生が始まったら、とにかく資金を減らさないように注意すること

民事再生の申立てをして、2週間、3週間と過ぎていくと、スポンサー候補がデューデリジェンスに訪れることを除けば、会社としての通常業務については、以前と変わらないような日々がやって来ます。

破産と違って、民事再生は事業を継続するのが目的ですから、以前と変わらないような仕事をしていると、なんだか、民事再生のことなど、無かったような気にもなります。

以前と大きく違う点は、やはり資金繰りでしょう。

何しろ、支払いは現金が基本です。仕入先の中には、先払いを要求する会社も有りますから、日がたつごとに、用意した現金が目減りしていきます。
私の会社の例で言いますと、毎日の日課として、お金の動きをチェックしていました。

足りなくなったら銀行借り入れ、などということはできないのですから、とにかく、資金ショートしたら、そこでゲームセットだということを念頭に置いて、細心の注意が必要なのです。

資金対策の実態事例

まず、仕入先に、購入から支払い日までの期間を、長くする交渉をしました。最低でも、月末締め切りの翌月末支払いをお願いするようにして、可能なところは、月末締め切りの翌々月末での支払いをお願いしました。

民事再生を申立てすると、手形が使えなくなります。ですから、支払いまでの期日を長くしてもらうようにお願いするしかないわけです。

一方、お客様の支払いは、手形というケースがほとんででしたが、現金払いに変更してもらえないか、とか、半分手形で半分現金ならどうですか、とか、お願いして回りました。
中には、協力してくれる会社も有りましたが、お客様の支払い条件の変更は、なかなか厳しいものでした。

上手に「回し手形」を使う方法

意外にうまくいった方法ですが、お客様から受領した手形を、仕入先への支払いに使うという方法でした。いわゆる、回し手形、という方法です。

当社は民事再生中ですから、銀行に手形割引を依頼して手形の現金化をすることが出来ません。しかし、仕入先の会社は手形割引が出来るので、意外にすんなりと受けてもらえました。

ただ、あまりまとまった金額の手形ですと、仕入先への支払額を越えてしまって使えなかったりしますので、ここは、お客様にお願いして、手形を何枚かに分けてもらうように依頼しました。

例えば、1千万円の手形をもらう予定だった場合、100万円の手形を10枚にしてもらうという感じです。

もちろん、そのために余計にかかる印紙代は、こちらで負担します、と申し出るわけです。

そうすると、例えば、120万円の支払先には、100万円の回し手形と、現金を20万円というふうに支払います。

そうすると、現金の持ち出しは20万円だけで済むので、資金の目減りを防げるということになります。

とにかく、用意した資金を、極力減らさないようにすることが、一番の目的です。

民事再生申立て後は、運賃も、要チェック事項です

会社とお客様をつなぐのは、運送便です。ですから、運賃は重要です。たいていの製造メーカーは、お客様に商品を届ける方法として、何らかの運送便を使っていると思います。

私が勤務していた会社も、毎月1000~1500個の荷物を発送していました。ですから、経費としての運賃は、無視できない金額でした。

まず、荷物を発送できるようにすること

民事再生を申立てると、当然、運送会社への支払いもストップします。ただ、運送会社は、たいていは、手形での支払いは受け付けずに、月末締め切り、翌月末振込、くらいの支払い条件が一般的です。ですから、手形を受け取っていたような仕入先に比べると、被害は小さく、運送会社の被害額は、せいぜい月の売り上げの2か月分くらいでしょう。

いずれにしても、荷物を取り扱ってもらわないと、お客様に納品できませんから、私は、民事再生を申し立てた翌朝一番に、担当弁護士と一緒に、継続取引のお願いに行きました。

私の勤務先の会社は、その地域の運送会社にとって、大口の客先でしたので、この荷物が無ければ、その運送会社も困るという状況でしたので、運賃は、毎日発送ごとに現金で支払うという条件で、継続を承諾してもらいました。

運賃が赤字の要因に

しかし、ここから先に、問題が発生します。

私の会社は、大口取引先でしたから、運賃をだいぶ値引してもらっていました。通常の料金の半額くらいで対応してもらっていたんです。おそらく、荷物の多い会社は、みんなそんな感じではないでしょうか。

ところが、民事再生になった途端、料金が通常料金になってしまいました。ということは、運賃が倍になるということです。これでは、商品によっては赤字になってしまいます。

あっという間に、目の玉が飛び出そうな運送費になってしまいました。

結局、しばらくは我慢したのですが、2週間くらい過ぎたころに、民事再生前の価格で対応して欲しいとお願いしました。

ずっと2倍近い価格で荷物を出していたら、運送会社は民事再生での損害などはすぐに取り返して、さらに以前よりも儲かるということになってしまいます。

それでは、他の会社とのバランスも悪いということになります。 発送する荷物が多い会社は、運賃問題が赤字を作る要素にもなりかねないので、充分な注意が必要です。

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました